レジオネラ菌とは?感染経路・症状・発生しやすい設備と予防対策をわかりやすく解説
※本記事では自社サービスの紹介を含みます。
レジオネラ菌は、河川や湖、温泉、土壌などの自然環境にも存在する細菌です。
一方で、循環式浴槽、冷却塔、給湯設備、加湿器など、水を使用する設備の中で増殖すると「レジオネラ症」という感染症の原因になることがあります。
この記事では、レジオネラ菌とは何か、どのように感染するのか、主な症状や潜伏期間、発生しやすい設備、予防対策について分かりやすく解説します。
さらに、職場や施設の安全衛生担当者が確認しておきたいポイントについても紹介します。


Zoomオンライン講習
講師による直接指導と運営スタッフによるサポート体制。受講者様も企業のご担当者様も安心して利用できるオンライン講習。
eラーニング講習
1回約20分から。仕事の予定に合わせて学べるオンデマンド形式(録画配信)の労働安全衛生eラーニング。
レジオネラ菌とは?
レジオネラ菌とは、河川、湖、温泉、土壌などの自然環境に生息する細菌の総称です。
正式には「レジオネラ属菌」と呼ばれています。
その中でも「レジオネラ・ニューモフィラ」は、レジオネラ肺炎を引き起こす代表的な菌です。
自然環境に存在しているだけで、直ちに健康被害が発生するわけではありません。
注意したいのは、人工的な水設備の中でレジオネラ菌が増殖し、菌を含む細かな水滴が空気中に飛散する場合です。
詳しくは、厚生労働省「レジオネラ症」をご確認ください。
レジオネラ症とは?
レジオネラ症とは、レジオネラ属菌に感染することによって起こる細菌感染症です。
主な病型には、次の2つがあります。
レジオネラ肺炎
ポンティアック熱
レジオネラ肺炎は重症化することがある一方、ポンティアック熱は一般的に肺炎を伴わず、比較的軽症で経過します。
また、レジオネラ症は感染症法上の四類感染症に分類されています。
診断した医師には、感染症法に基づく届出義務があります。
レジオネラ肺炎の主な症状
レジオネラ肺炎では、全身のだるさや頭痛などに続き、発熱や咳、呼吸困難などが現れることがあります。
主な症状は次のとおりです。
全身のだるさ
頭痛
食欲不振
筋肉痛
咳
高熱、寒気
胸痛
呼吸困難
意識障害や下痢などを伴う場合もあります。
症状だけで他の肺炎と区別することは難しく、適切な治療が遅れると急速に悪化することがあります。
特に、高齢者、免疫機能が低下している人、基礎疾患のある人などは注意が必要です。
疑わしい症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
ポンティアック熱とは?
ポンティアック熱とは、レジオネラ属菌による感染症の一つで、通常は肺炎を伴わない病型です。
発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛など、インフルエンザに似た症状が現れることがあります。
一般的には自然に回復しますが、症状だけで自己判断せず、体調に異常がある場合は医療機関に相談してください。
レジオネラ症の潜伏期間は?
レジオネラ肺炎の潜伏期間は、一般に2~10日とされています。
潜伏期間とは、感染してから症状が現れるまでの期間です。
ポンティアック熱では、通常、レジオネラ肺炎より短い潜伏期間がみられます。
そのため、症状が出た日に利用した設備だけが感染源とは限りません。
発症前に利用した浴場や施設、水設備などが感染源の調査対象となる場合があります。
レジオネラ菌はどのように感染する?
レジオネラ症の主な感染経路は、レジオネラ菌を含んだ細かな水滴「エアロゾル」を吸い込むことです。
例えば、レジオネラ菌が増殖した水が、シャワーや冷却塔などから細かな水滴となって飛散すると、それを人が吸い込んで感染する可能性があります。
エアロゾル(Aerosol)とは?
エアロゾルとは、空気などの気体の中に、非常に小さな液体や固体の粒子が浮遊している状態のことです。
身近な例には、霧や細かな水しぶき、空気中に浮遊する微細な粉じんなどがあります。
一般的に「飛沫」というと、咳やくしゃみなどで飛び散る水滴をイメージするかもしれません。
エアロゾルには、一般的な飛沫よりも小さく、空気中に長く浮遊することがある粒子も含まれます。
ただし、エアロゾルと飛沫は、粒子の大きさだけで厳密に区別できるものではありません。
また、エアロゾルは、気体である水蒸気そのものとは異なります。
レジオネラ菌の場合、問題になるのは、菌を含む水が微細な液体の粒子となって空気中に飛散することです。
目に見えないほど小さな粒子もあるため、水しぶきが見えなくても、感染につながるエアロゾルが存在する可能性があります。
エアロゾルによる感染の仕組み
レジオネラ菌の感染は、主に次のような流れで起こります。
① 水設備の中でレジオネラ菌が増殖する
循環式浴槽や冷却塔などで衛生管理が不十分な場合、菌が増殖することがあります。
② 菌を含む細かな水滴が発生する
シャワーや気泡発生装置、冷却塔などから、菌を含んだ水がエアロゾルとなって飛散します。
③ 人がエアロゾルを吸い込む
菌を含む微細な水滴を吸い込み、菌が肺に到達することで感染する可能性があります。
そのため、レジオネラ対策では、「菌を増やさないこと」と「菌を含むエアロゾルの飛散を抑えること」の両方が重要です。
人から人へ感染する?
レジオネラ症は、通常、人から人へ感染する病気ではありません。
インフルエンザなどとは異なり、感染源となる水設備を適切に管理することが予防の中心になります。
なお、汚染された水を誤って気道に吸い込む場合や、菌を含む土壌・腐葉土の粉じんを吸入する場合にも感染が起こることがあります。
レジオネラ菌が増殖しやすい設備は?
レジオネラ菌は、水が滞留し、生物膜などが形成された設備の中で増殖することがあります。
代表的な設備を確認しましょう。
循環式浴槽
循環式浴槽では、浴槽だけでなく、ろ過器や配管内部の衛生管理が重要です。
循環式浴槽は、浴槽水をろ過器や配管に通して繰り返し使用する設備です。
配管などに生物膜が形成されると、レジオネラ属菌が増殖しやすい環境になる場合があります。
そのため、浴槽の清掃や水の消毒だけでなく、ろ過器や循環配管を含めた設備全体の管理が必要です。
空調設備の冷却塔
冷却塔は、一般の職場でも注意したい設備の一つです。
冷却塔は、水と空気を接触させて冷却する設備です。
その構造上、微細な水滴が飛散することがあります。
レジオネラ菌が増殖した水がエアロゾルとなると、設備の周囲にいる人が吸い込む可能性があります。
厚生労働省の技術上の指針では、冷却塔の使用開始時および使用期間中は1か月以内ごとに1回の点検を行い、さらに1年に1回以上、清掃と完全換水を行うことが示されています。
点検で汚れなどが確認された場合は、必要に応じた清掃や換水も重要です。
給湯設備
給湯設備では、湯温と水の滞留を適切に管理することが重要です。
特に貯湯式や循環式の中央給湯設備では、貯湯槽や配管内の湯水が適切に管理されていない場合、レジオネラ菌が増殖する可能性があります。
厚生労働省の指針では、設備に応じた温度管理や、生物膜の発生を防ぐための措置が示されています。
貯湯槽内60℃以上、末端の給湯栓55℃以上といった温度条件が示されている設備もありますが、すべての給湯設備に一律に適用されるものではありません。
設備の種類や構造に応じて管理することが重要です。
加湿器・加湿装置
加湿器も、水の管理が不十分な場合には感染源となる可能性があります。
特に、水をためたまま使用したり、タンクの清掃を怠ったりすると、微生物が増殖する環境になることがあります。
厚生労働省の指針では、家庭用加湿器について、タンクの水を毎日完全に交換し、タンク内を清掃することが示されています。
建物の空調設備に組み込まれた加湿装置については、設備に応じた別の管理方法が必要です。
なぜ生物膜(バイオフィルム)の除去が重要なのか?
生物膜とは、細菌などの微生物が配管やタンクの表面に集まって形成する、ぬめり状の層です。
レジオネラ属菌は、生物膜に生息する微生物の中で増殖することがあります。
また、生物膜の内部では、消毒剤の効果が十分に届きにくい場合があります。
そのため、
「消毒剤を入れているから安全」
と判断するだけでは十分ではありません。
清掃、洗浄、換水、消毒、設備点検を組み合わせて管理することが大切です。
レジオネラ菌を予防する3つのポイント
予防の基本は、「菌を増やさない」「生物膜を除去する」「エアロゾルの飛散を抑える」の3つです。
具体的には、次のような管理が重要です。
水を必要以上に滞留させない
設備を定期的に点検する
汚れやぬめりを放置しない
配管やタンク内部まで管理する
設備に応じた清掃・消毒を行う
適切な水温・水質を維持する
点検や清掃の記録を残す
厚生労働省でも、これらの考え方をもとに設備ごとの衛生管理方法を示しています。
詳しくは、厚生労働省「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」をご確認ください。
職場ではどこに注意すべきか?
レジオネラ対策は、浴場施設だけの問題ではありません。
一般の事業場でも、空調用冷却塔、給湯設備、従業員用シャワー、加湿器などが使用されています。
特に注意したいのが、長期間使用していない設備や、水が滞留しやすい場所です。
普段使用していない設備でも、内部に水が残っている場合があります。
再使用する際には、設備ごとの管理手順に従って点検・清掃などを行うことが大切です。
また、冷却塔などでは、菌を含むエアロゾルが周囲に飛散する可能性も考慮する必要があります。
安全衛生担当者が確認したいポイント
安全衛生担当者は、設備の有無だけでなく、「誰が、いつ、どのように管理しているか」を確認することが重要です。
職場巡視や設備管理では、次の点を確認するとよいでしょう。
レジオネラ対策が必要な設備を把握しているか
設備ごとに管理責任者が決まっているか
清掃・点検方法が決められているか
点検、換水、消毒などの記録が残っているか
長期間使用していない設備がないか
エアロゾルが飛散する設備を把握しているか
異常時の対応方法や連絡先が決まっているか
点検表や管理手順書が整備されているか
「設備が管理されているはず」と考えるのではなく、実施状況を記録で確認することが、継続的な衛生管理につながります。
公衆浴場や入浴施設では自治体の基準も確認する
公衆浴場や宿泊施設などでは、国の管理要領だけでなく、自治体の条例や衛生管理基準も確認する必要があります。
浴槽水の水質検査、清掃、消毒、記録の保存などについて、施設ごとの管理基準が定められている場合があります。
具体的な内容は、所在地を管轄する保健所などへ確認してください。
詳しくは、厚生労働省「レジオネラ対策のページ」をご確認ください。
レジオネラ菌が検出された場合は?
レジオネラ属菌が検出された場合は、検査結果や設備の状況に応じて適切に対応する必要があります。
特に、施設利用者からレジオネラ症患者が発生し、その施設との関連が疑われる場合には注意が必要です。
感染源の調査に設備の状態が重要となる場合があるため、自己判断だけで清掃や消毒を進めず、管轄する保健所などの指示を確認することが大切です。
レジオネラ対策も職場の安全衛生管理の一つ
レジオネラ対策は、単なる設備清掃ではなく、職場の衛生管理の一つとして考えることが重要です。
職場の安全衛生管理では、
危険となる設備を把握する → 管理方法を決める → 担当者を決める → 点検する → 記録する → 改善する
という流れが基本になります。
これは、職場巡視やリスクアセスメントなどにも共通する考え方です。
アイムセーフでは、衛生推進者養成講習、安全衛生推進者養成講習など、職場の安全衛生管理に関する講習を実施しています。
Zoomオンライン講習
講師によるリアルタイムの講義で、安全衛生管理に必要な知識を学べます。
eラーニング講習
1回約20分から学べる、オンデマンド形式のeラーニングです。
受講期間内であれば24時間、ご都合のよい時間に学習できます。講習の公開・申込状況はサイトでご確認ください。
レジオネラ菌だけを個別の問題として考えるのではなく、設備管理、作業環境管理、健康管理、職場巡視などを含め、職場全体の衛生管理体制を整えることが重要です。
まとめ|レジオネラ菌対策は「増やさない・飛散させない・管理を続ける」
レジオネラ菌とは、自然環境にも存在し、水設備の中で増殖するとレジオネラ症の原因になることがある細菌です。
特に、循環式浴槽、冷却塔、給湯設備、加湿器などでは、設備内部の衛生管理が重要になります。
レジオネラ症の主な感染経路は、菌を含む微細な水滴(エアロゾル)の吸入です。
そのため、予防では次の3点が重要です。
菌を増やさない
生物膜を適切に管理する
菌を含むエアロゾルの飛散を抑える
さらに、設備の管理責任者や点検方法、記録方法を明確にし、継続的に管理することが大切です。
まずは、「自分たちの職場にはどのような水設備があり、誰がどのように管理しているのか」を確認することから始めましょう。









































コメント